フットケアも重要な仕事

高齢者は、足が弱ると歩けなくなり、たちまち行動範囲が狭くなってしまうでしょう。行動範囲が狭まると、外部からの刺激も減り、認知症にかかりやすくなります。したがって、高齢者の足を如何に健康に保つかが、重要なポイントになるのです。

高齢になっても、軽いウォーキングなど適度な運動は欠かせません。毎日少しの距離でも歩く習慣を付けることが望ましいでしょう。杖や手すりが無いと歩けない状態になっても、歩行訓練を続けることが必要です。介護施設では、作業療法士などの専門家の指導を受け、適切な機能回復訓練ができます、 また、介護職員によるフットケアを受けることも、足の健康維持に有効です。

フットケアは、足首より下の部分をケアする手法で、靴下だけ脱げばいつでも気楽にできる介護行為だと言えるでしょう。フットケアを施せば、洗浄や清拭により足先を清潔に保ったり、マッサージにより血行を良くして浮腫を解消したりする効果があります。フットケアにより足先の病変もチェックできるので、巻爪や潰瘍があっても速やかに対処できるでしょう。

フットケアは、リラックス効果をもたらすだけでなく、足先の浮腫を除去し、骨の歪みを矯正して足元を安定させるため、歩行にも良い影響を与えます。足の健康を保つためには、膝や腰だけでなく、足の甲や足裏に加えて足の爪もきちんと管理することが欠かせません。高齢者は目が悪く足先まで自力のケアが行き届かないことが多いので、介護職員が日頃からフットケアを心がけ、爪切りやマッサージを行うことが重要なのです。ただし爪切りなどは場合によっては医療行為とみなされます。そのため介護職員ができるフットケアについて事前に理解しておくことが重要です。